会計年度締めや四半期締めの直前は、契約先会社との経理的な手続きが短期間で多く発生します。
グローバルや国際化という言葉が使い古されて久しい昨今、日本の会社であっても、日本国内の取引会社との契約だけでなく、海外に拠点を置く会社との契約も多くなっているのではないでしょうか。
日本企業におけるビジネスの現場において、海外の契約先会社と、経理処理に日本から海外送金・国際送金をしなければいけない状況があり、
私が実際に英語でやり取りするなかで、タイトルにあるRemittance DateとValue Dateという言葉に出会いましたので、紹介します。
- Remittance Date
- Value Date
- 注意点
- 参考:海外送金の仕組み
- 参考:海外送金で使用するSWIFT コード (スウィフトコード)
- 参考:海外送金で登場する英語
- 参考:海外送金の目的 (Purpose of Remittance)
- 参考:Governing Law (準拠法)
- 生成AIによる説明
Remittance Date
送金日。remittanceで「送金」の意味。
remit または make a remittanceで「送金する」。remitは、ビジネスや契約といったフォーマルな文脈で使用される単語。
日本から海外への送金においては、「日本の銀行へ送金手続きを実施した日」。
日常会話における「送金する」は、send moneyが自然でしょうか。
例えば、My parents send money to me every months.
直訳すると、「両親は私に毎月お金を送る」。意訳して、「毎月親から仕送りがある」といった感じでしょうか。send moneyは中学で習う単語の組み合わせなので、誰にでも簡単でわかりやすく、使いやすいですね。
send 以外には、transfer を使って、international transfers で海外送金・国際送金という意味になります。transfer は remit よりもカジュアル、sendよりはフォーマルな印象ですが、ビジネスにおいてtransferを使用しても違和感は無さそうです。
三井住友銀行の英語ページでは、外国送金を「Foreign Money Transfer」、海外送金手数料を「Overseas Remittance Fee」としているようですね。
Value Date
着金日。その他の意味としては、実行日、決済日、受渡日、など。取引が行われ、実際にお金が受け渡される日のこと。
BusinessDictionary.comから、Value Dateの意味を引用します。
Date on which a transaction actually takes place.
http://www.businessdictionary.com/definition/value-date.html
トランザクションが実際に行われた日付、実際に取引があった日付、といった意味ですね。海外送金の場合には、着金日として支障ないかと思います。
注意点
海外送金の場合、Remittance Date (送金日) とValue Date (着金日)は、同じ日ではないので、注意が必要です。
処理の流れとして、自社→日本の送金銀行→中継銀行→取引先の国の銀行→取引先会社と、自社と取引先会社との間に複数の銀行が入るために、Remittance DateとValue Dateが同じ日にならないことが一般的です。
例えば、海外取引先からのInvoice (請求書)のDue Date(支払期日)が3月31日であった場合、日本でのRemittance Date(送金日)を3月31日に設定してしまうと、海外取引先へのValue Date(着金日)は3月31日ではなく、4月になってしまいます。
このとき、日本と海外とでは時差がありますが、どちらの国の時間として考えるのかは、契約における準拠法が、日本の法律か、海外の法律か、が参考になります。契約書の中に、Governing Law (準拠法)という一般条項があることが普通ですので、取引先との契約書を確認しておくと良いでしょう。
とはいえ、できるビジネスマンとしては、Due Dateとして指定されている日付よりも、余裕を持って早めに対応したいものです。
参考:海外送金の仕組み
下記のページが、わかりやすくまとめられていました。
簡単に言うと、先程も記載したとおり、自社→日本の送金銀行→中継銀行→取引先の国の銀行→取引先会社 です。中継銀行における手数料(コルレス手数料とも呼ばれる)、取引先の銀行における着金手数料が取られるケースもあります。
参考:海外送金で使用するSWIFT コード (スウィフトコード)
SWIFT コードは、国際標準化機関によって承認された金融機関識別コードの標準書式のこと。ISO9362。
略さずに記載すると、"Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication" で、日本語では「国際銀行間金融通信協会」と訳します。
ISO 9001 (品質マネジメントシステムに関する国際規格) やISO 14001 (環境マネジメントシステムに関する国際規格)は馴染みがありますが、ISO 9362 と言われても全くピンと来ませんね。
SWIFT コードは8文字か11文字で構成されていて、下記のように文字に意味が割り当てられています。
- 4文字 - 金融機関コード
- 2文字 - ISO国名略号
- 2文字 - 所在地コード
- 3文字 - 支店コード、任意付与 ('XXX'は本店)
例えば、BOJPJPJT は日本銀行のSWIFTコード。BOJPが金融機関コード、次のJPが日本の略号、JTが所在地コード、です。
SWIFTコードは、BICコード (ビックコード。正式名称はBank Identifier Code)や、SWIFT BIC (スフィフトビック)などと呼ばれることもあります。SWIFTコードの検索は、下記TransferWise社のページでできるので、確認してみてください。
SWIFT/BICコード銀行名 - TransferWise
その他には、
- IBANコード (アイバンコード。正式名称は国際銀行勘定番号、International Bank Account Number)
- ABAコード (エービーエーコード。正式名称はAmerican Bankers Associationコード)
といったコードがあります。
IBANコードは、主にヨーロッパや中東で使用されている銀行コード(最大34桁のアルファベットと数字)です。
ABAコードは、Routing Number(ルーティングナンバー)とも呼ばれ、アメリカで使用される銀行コード(9桁)です。
どちらも日本の銀行には存在しないコードなので、日本から海外への送金にのみ使用するコードです。海外から日本への送金には、SWIFTコードのみが必要になります。海外送金の詳細な手続き方法については、各金融機関のページを参照してください。
参考:海外送金で登場する英語
代表的な英単語だけ箇条書きで紹介します。
BeneficiallyやIntermediaryといった単語は聞き慣れないですね。
- Beneficially Bank Name: 送金先銀行名
- Branch Name: 支店名
- Head Office: 本店
- Sub Branch: 出張所
- Account Number: 口座番号
- Beneficially Name: 受取人氏名
- Currency: 通貨
- Amount: 送金金額
- Remittance Charge/ Remittance Fee: 送金手数料
- Remittance Bill: 送金手形
- Intermediary Bank: 中継銀行
- Invoice: 請求書
参考:海外送金の目的 (Purpose of Remittance)
こちらも代表的な目的だけ抜粋。
- 人件費: Personal Expenses
- 駐在員手当: Representative Allowance
- 旅費: Traveling Expenses
- 業務委託費: Business Consignment Expenses
- 開発費: Development Cost
沖縄銀行と名古屋銀行が、海外送金の目的を一覧にして掲載していますので、必要に応じてご覧ください。
沖縄銀行:https://www.okinawa-bank.co.jp/_files/00016179/en.pdf
名古屋銀行:https://www.meigin.com/kojin/benri/pdf/gaikoku-sokin/201904-oshirase.pdf
参考:Governing Law (準拠法)
下記のような一文が、英文契約書の一般条項Governing Lawにあります。
その契約がどの国の法律をもとにするのか、相手国なのか日本なのか、それとも第三国なのか、確認してみると良いでしょう。
引用:
This Agreement shall be governed by and construed in accordance with tha laws of Japan without reference to principles of conflict of laws.
引用:
The formation, validity, construction, and performance of this agreement shall be governed by the laws of Japan.
This Agreement shall be governed by the laws of the State of California, USA in all respects of validity, construction and performance thereof.
参考ばかりになってしまいましたが、Remittance Date と Value Date、さらに海外送金に関連する内容について紹介しました。
生成AIによる説明
最後、ChatGPT と Claude に説明してもらった内容を記載しておきます。
ChatGPT:
1. Remittance Date(送金日)
送金日とは、実際にお金があなたの口座から出て行く日、つまり送金手続きを行った日です。この日付は、銀行や送金サービスが指示を受けて、お金を送る処理を開始するタイミングになります。
2. Value Date(価値日)
価値日とは、送金されたお金が受け取り側の口座に正式に反映される日です。この日付は、実際に受け取り側がそのお金を使えるようになる日を示します。国際送金の場合、送金先の国や銀行の手続きによっては、送金日から数日後になることが一般的です。
例を使って説明すると:
- 送金日(Remittance Date): 例えば、あなたが8月1日に海外に送金の手続きを行ったとします。この日が送金日です。
- 価値日(Value Date): 送金先の銀行での処理が完了し、受取人が実際にそのお金を使えるようになるのが8月3日だとします。この日が価値日です。
まとめ
- 送金日は、お金が送られるための手続きを始めた日。
- 価値日は、受け取り側が実際にお金を利用できるようになる日。
この二つの違いを理解しておくと、国際送金のタイミングを計画しやすくなります。
Claude:
Remittance Date(送金日)の詳細:
- 定義:送金人が資金を送る指示を出し、その口座から資金が引き落とされた日付です。
- 重要性:送金人の資金管理において重要で、キャッシュフローの記録に使用されます。
- 実務での使用: a) 会計処理:企業は、この日付を基に支出を記録します。 b) 契約遵守:支払期限がある場合、Remittance Dateがその遵守を証明します。 c) 為替レート:一部の取引では、この日の為替レートが適用されることがあります。
Value Date(起算日または価値日)の詳細:
- 定義:受取人の口座に資金が実際に入金され、利用可能になる日付です。
- 重要性:銀行間取引、利息計算、為替レートの適用において重要です。
- 実務での使用: a) 利息計算:銀行は、この日から受取人の口座の利息計算を開始します。 b) 為替取引:国際送金では、通常このValue Dateの為替レートが適用されます。 c) 資金可用性:受取人は、この日から資金を使用できるため、キャッシュフロー管理に重要です。 d) 貿易金融:信用状(L/C)取引では、支払いのValue Dateが重要な条件となります。
両者の関係と実務上の影響:
- 時差:Remittance DateとValue Dateの間には、通常1-5営業日の差があります。国際送金の場合、さらに長くなることがあります。
- 為替リスク:この期間中の為替変動が、送金額に影響を与える可能性があります。
- 流動性管理:企業は、この時差を考慮して資金計画を立てる必要があります。
具体的な使用例:
a) 国際貿易: 輸出業者Aが輸入業者Bに商品を販売し、支払期限が7月1日の場合:
- 7月1日:Bが送金指示を出す(Remittance Date)
- 7月3日:Aの口座に資金が到着し、利用可能になる(Value Date)
b) 投資取引: 投資家Xが海外の債券を購入する場合:
- 6月15日:Xが送金指示を出す(Remittance Date)
- 6月17日:資金が証券会社に到着し、債券購入が実行される(Value Date)
c) 給与支払い: 多国籍企業が海外従業員に給与を支払う場合:
- 5月28日:本社が一括して送金指示を出す(Remittance Date)
- 5月31日:各国の従業員の口座に給与が入金される(Value Date)
これらの日付の正確な理解と管理は、国際取引、財務管理、コンプライアンスにおいて非常に重要です。企業や金融機関は、これらの日付を適切に追跡し、取引や契約条件に反映させる必要があります。
以上です。