中小企業診断士試験の企業経営理論、令和元年度の過去問を学習したので、間違った問題を中心に用語をまとめました。
- デファクトスタンダード(de facto standard)
- デジュールスタンダード(de jure standard)
- キャズム(Chasm)
- アンゾフ(Igor Ansoff)の戦略の定義:
- 組織論のメディア・リッチネス理論における多義性(equivocality)
- 組織論のメディア・リッチネス理論における不確実性(uncertainty)
- 威光価格(Prestige Pricing)
- キャプティブ価格(captive product pricing)
- 低次学習(シングルループ学習、Single-loop learning)
- 高次学習(ダブルループ学習、Double-loop learning)
- ビッグファイブ(Big Five personality traits)
- SERVQUAL サーブクォルモデル
デファクトスタンダード(de facto standard)
公的に規定されていないが、事実上の標準的規格かのような規格。
Windows OS、Microsoft Officeソフト、QWERTY配列など。
デジュールスタンダード(de jure standard)
公的機関(ISO、IEEEなどの標準化団体)によって規定された公的規格の総称。
de jure は、法律上の、道理上の、という意味。デジューレスタンダード、デジュール標準などとも言う。
キャズム(Chasm)
直訳は深い溝、市場の断層。
マーケティング理論による、アーリーアドプター(Early Adopters、目利きの層)とアーリーマジョリティ(Early Majority、流行に敏感な層)の間にある深い溝のこと。
キャズムを乗り越えていくには、どのようなマーケティングのアプローチが必要であるのかを示した理論のこと。
アンゾフ(Igor Ansoff)の戦略の定義:
戦略とは、部分的無知(partial ignorance)の状態のもとでの意思決定のためのルール。
Strategy is a set of rules for decision making under conditions of partial ignorance. Strategic decisions concern the firm's relationship with its ecosystem.(H. Igor. Ansoff, Strategic Management (New York: Wiley, 1981)
完全に情報を把握しきった状況での意思決定は現実的でなく、ある程度の情報を把握した段階で意思決定を行うための指針や方針のことを、
アンゾフは「戦略」と呼んでいると、私は理解した。
組織論のメディア・リッチネス理論における多義性(equivocality)
情報の曖昧さ。組織内で人によって解釈が異なるような状況。
リッチなコミュニケーション(Face to Faceの双方向コミュニケーション等の、すぐにフィードバックが可能なコミュニケーション方法)で、曖昧さを解消し、共通認識を持つことが重要。
組織論のメディア・リッチネス理論における不確実性(uncertainty)
組織がタスクを実行するのに必要な情報量と、組織によって獲得されている情報量の差。
端的に言うと、情報量が不足している状態。情報が足りていないので情報収集・処理する必要がある。
参考:第8回「多義性」を縮減するのに適切なメディアとは何か | ワイアードビジョン アーカイブ
威光価格(Prestige Pricing)
製品やサービスの品質、そのステータスの高さを消費者に感じさせることができる価格。
ただし、消費者が品質や価値を判断できない場合に限る。高級ブランドなど価格が高いからこそ買う、という心理的価格のこと。
a pricing strategy in which prices are set at a high level, recognising that lower prices will inhibit sales rather than encourage them and that buyers will associate a high price for the product with superior quality; also called Image Pricing.
引用元:Prestige Pricing - Monash Business School
キャプティブ価格(captive product pricing)
商品の本体価格を低く設定し、消耗品の価格を高く設定することにより、本体の低価格のアピールと、消耗品購入による長期安定的な収益確保の価格戦略。
例えば、プリンター本体と専用インクカートリッジ、コーヒーメーカーと専用パックの価格の関係のこと。
a method of pricing the captive element of a product such as a razor or a ball-point refill; often the main product is sold below cost when high profits are expected on the captive component.
引用元:Captive Product Pricing - Monash Business School
低次学習(シングルループ学習、Single-loop learning)
単なる行為の繰り返し、部分修正といったもの。過去の学習や成功体験を通じて獲得した、ものの見方や考え方、行動の仕方の枠組みのなかで行う学習。
低次学習が促進されてしまう4つの要因
・「役割制約的学習」…組織内の役割や規定などの制約により、個人が具体的な行動に出ることができない状態
・「傍観者的学習」…個人の学習成果が組織としての行動につながらない状態
・「迷信的学習」…組織の行動が環境に作用しない、環境の反応とは無関係に展開される状態
・「曖昧さのもとでの学習」…組織の行動による環境変化を適切に解釈できず、個人の信念が修正されない状態
組織の発展段階の、安定した段階における連続的な進化のプロセス(漸次的進化過程)。つまり、環境が安定している状況において、改善のサイクルを継続的に回していくことと理解しました。
高次学習(ダブルループ学習、Double-loop learning)
組織全体に影響を与える学習や規範・認知の枠組みの変化などの、既存の価値や目標などを抜本的に変化させるもの。
既存の目的や前提そのものを疑い、それらも含めて軌道修正を行うこと。
そもそもを疑い、前提を疑い、目的やなぜを考え、過去の延長ではない行動を起こす、創造的でイノベーティブなものと理解しました。
Double-loop learning is an educational concept and process that involves teaching people to think more deeply about their own assumptions and beliefs. It was created by Chris Argyris, a leading organizational trainer, in the mid-1980’s, and developed over the next decade into an effective tool. Double-loop learning is different than single-loop learning which involves changing methods and improving efficiency to obtain established objectives (i.e., “doing things right”). Double-loop learning concerns changing the objectives themselves (i.e., “doing the right things”).
引用元:
低次学習(シングルループ学習)は、ループが1つ。
高次学習(ダブルループ学習)は、メンタルモデルとの相互作用もあるため、ループが2つ。
Wikipedia: Double-loop learning - Wikipedia
ビッグファイブ(Big Five personality traits)
性格の基本次元を5つの因子で説明できるとする理論。頭文字を取って、OCEANと略されることもある。
・開放性(Openness:想像力豊か、好奇心旺盛)
・誠実性(Conscientiousness:計画的、責任感が強い)
・外向性(Extroversion:社交的、話好き)
・調和性(Agreeableness:協力的、温和)
・神経症傾向(Neuroticism:心配性、傷つきやすさ)
職務満足や職務の成果に影響し、開放性以外の4つの特性は、職務満足と有意な関係がある。全ての職務の成果と正の相関を持つのは、誠実性。
参考 Wikipedia: Big Five personality traits - Wikipedia
SERVQUAL サーブクォルモデル
サービス品質の測定尺度のことで、サービス(Service)と品質(Quality)を組み合わせた造語。
顧客がサービスの品質をどう知覚するかを、5つの観点で評価し測定される。
信頼性(Reliability)、確実性(Assurance)、有形性(Tangibles)、共感性(Empathy)、反応性(Responsiveness)。
サービスの利用前と利用後の2時点の評価を計測して、変化を確認することが推奨されている。
参考 Wikipedia: SERVQUAL - Wikipedia